インタビュー

アーティストインタビュー|現代画家・松崎大輔 Daisuke Matsuzaki

 

画家の松崎さんとの出会いはTwitterでした。

吸い込まれるような色彩で描かれた幻想的な動物たち。淡い童心の記憶を呼び覚ますような作品に目が奪われました。

松崎さんのツイートは、アーティストとしての活動記録だけではなく、赤裸々に吐露する日々の苦悩や、日本の社会問題を鋭く指摘。その傍ら、自殺願望をもった人を救うための電話相談活動も定期的に行っています。

そんな松崎さんの日々のツイートに次第に興味が湧き、今回のインタビュー企画を相談したところ、快く引き受けていただきました。

_ 画家になったきっかけや作品について

_ 過去の活動について

_ アーティストとしての今とこれから

今回は現代画家・松崎大輔さんからお話を聞きます。

 

松崎 大輔(Daisuke Matsuzaki)

1979年3月26日、東京生まれ。千葉県市川市在住。

小学校教員やフィリピン生活を経て37歳から独学で画家活動をスタート。

資本主義や競争社会に疑問を持ち、地球の生きとし生けるものの「調和・共生」をコンセプトに動物、植物、自然などをモチーフにしたカラフルなアートを描く。

 

第1章)画家・松崎大輔の作品

___画家を目指したきっかけはありますか?

画家になったのは、4年前のことなんです。

若い頃から社会に適応できない生きづらさを感じていて、大学卒業後にうつ病を患いました(※)。回復してから通信で教員免許を取得し、小学校教員を2年、その後フィリピンへ行って現地就職し4年間働きました。

その後日本に戻って、ふと子供の頃絵が得意だったのを思い出して、リハビリ的に絵を描き始めたんです。そしたら「描けるぞ」っていう手応えを感じて本格的に画家の道へ進みました。

(※)松崎さんがうつ病や生きづらさを抱えた原因は、両親からのネグレクトや心理的虐待だと話してくれました。このことについては、また別の記事にてお伺いする予定です。

 

___デビューからわずか4年とは思えないほど、たくさん作品を制作されていますよね。

画家をはじめた年は、年間で200点は描きました。

あの時は無意識に、何かを求めてひたすら描いていましたね。

今は大きいキャンバスや壁画も描いたりするので、年に100点ほど制作しています。

 

___ゾウやクジラなど動物を描かれていますが、それはなぜでしょうか?

僕は「調和・共生」をコンセプトにしています。

現代は、差別やいじめ、偏見、資本主義の”奪い合い”が蔓延った競争社会です。

1度この競争からつまはじきにされてしまうと、立て直すことが非常に難しいと感じています。僕自身も親や周りに理解されず、冷たい反応をされたりして、社会で生きることにとても苦労してきました。

 

そんな人間社会に比べて、自然の動物たちは絶妙なバランスを保って共存し合っていますよね。弱肉強食などはありますが、自然の摂理に逆らうようなものではありません。

とくにクジラやゾウは知能が高く、優しい瞳で地球上の生物を見守っているような、人には持ち合わせない精神性や、霊性のようなものを感じています。

「動物たちのように、人間も本来の姿《調和と共生》へ原点回帰しよう。」

これが僕がずっと無意識に求めていたもので、すべての作品に込めているメッセージでもあります。

 

___カラフルでポップな作品が多いですが、最近の作品は”静”を感じます。目を閉じている絵も多いですね。

2019年
2021年

松崎大輔作品ギャラリーより

ずっと「調和と共生」をコンセプトに描いていたんですが、NYで展示(※)をしたとき、僕の作品をみた方に「この絵にどういったバックグラウンドがあるんだ?」「なんでこの絵を描いたんだ?」ってすごく聞かれたんです。

(※)2019年展示会「Smiley exhibition」に出展@Pleiades galleryニューヨーク

それから自分のアートや展示のステートメントをより深く考えるようになって「自分は社会のマイノリティなんだ」という自覚が芽生えました。

社会的弱者の立場におかれた人たちの存在を意識するようになり、積極的にマイノリティについて勉強しました。

“一人世界” 2021年 380×455mm Acrylic on canvas, cork

ゾウやクジラはたくましさの象徴ですが、この絵のゾウは足が傷つき包帯をしています。

これは一人ぼっちで厳しい社会で傷つきながらも、目を瞑って平和を祈る象徴として描いています。

 

___あぁ、なるほど。それを知ると絵の印象がガラリと変わります。松崎さんの作品に「希望」を感じたのは、競争社会に対する反抗心だったり、怒りや不安を受け止めている気がしたからかもしれません。

“反抗期#1” 2021年 273×220mm Acrylic on canvas 

この絵は、現代社会で構造的に犠牲になりがちな子ども、女性、声を出せない存在が、無口だけれども、頭から木を生やして、自然による逆襲をしているイメージです。最も抑圧された存在と、強き自然の逞しさも重ねています。

 

“体は屈しても心は屈せず”  2021年(455×380mm)Acrylic on canvas, cork

この絵も上の女の子の絵に似ています。人間による環境破壊や弱い者や優しい者たちに対する攻撃や迫害に傷つき、体も折れるほどになっていても、反抗する心=(自然、木)の勢いは止まらないというイメージです。

 

“灯を守れ” 2021年 220×273mm Acrylic on canvas, cork

 

このゾウの足元にある火は「尊厳」「人権」「良心」の象徴として描いています。

 

あ、でも僕の作品を「癒される、かわいい」といってくれる方もいますし、「闇がある」という方もいます。感じ方は人それぞれなので、どう受け取ってもらっても良いんです。

思う存分モヤっとしてほしいです(笑)

 

第2章)画家・松崎大輔のこれまでの活動

___インスパイアされたものはありますか?アートに限らず、人生を変えた出来事や、音楽など…

フィリピンでの暮らしで日本の価値観が全てではないことに気づきました。

フィリピンにいた最後の1年は日本人がいない環境で働いたので、言語や文化の違いの影響が大きいと思います。

 

あとは、音楽は好きですね。昔バンドをやってました。

今でもパンク・ロックを聴きながら絵を描いたりしてます。

 

___ええ!意外です(笑)パンク・ロックがお好きなんですね。

はい。好きなアーティストはeastern youth、忌野清志郎、ken yokoyama、Hi-standard、Smashing pumpkins、Beatles、GEZANです。

2019年のサマーソニック(※)では会場横でライブペイントをしました。

会場内には入ってないんですけど、ちょうどレッチリがライブをしているのが聞こえて、最高の作業BGMでした(笑)

サマーソニック会場横でライブペインティングをする松崎さん

あとは、沖縄の「桜坂アサイラム(※)」というイベントでもライブペイントをしました。会場ではGEZANもライブをしていて、楽しかったです。

(※)サマーソニック・・・毎年8月に千葉と大阪で開催されるロック・フェスティバル

(※)桜坂アサイラム・・・東北の震災を機に、福島、埼玉、沖縄で始まったインディーバンドによる草の根の音楽と芸術による街フェス

 

___他にアート活動で、印象に残っていることはありますか?

サマーソニックと同年にあったART BATTLE JAPAN(※)の出場も良い思い出です。

ART BATTLEはNY発のアートイベントで、アーティストたちが集まって一斉に制限時間内にライブペイントで競う大会なんですけど、僕はそこでライオンと太陽の絵を描きました。

残念ながら負けてしまったんですが、他のアーティストの刺激をたくさん受けることができて良い経験になりました。ここで出会った方達とは今も繋がりがあって支え合っています。

(※)一般社団法人 ART BATTLE JAPAN・・・人々の生活にアートを浸透させることを目的にアーティスト活動支援も行う。

 

___ライブペイントなど、臨場感のあるものが得意なのですね。

そうですね。制作部屋で描くのとは違って、外で描いていると色んなインスピレーションが湧いてきます。

ウォールアート(壁画)なんかも、すごく好きです。

個人宅の壁画

この壁画はSNSで壁画制作の募集をしたところ、同じ市内の方が連絡をしてくれました。

合計8メートルの塀を「明るいイメージで好きなように描いてください」とリクエストをいただいたので、この壁画を見る人たちの気分が明るくなるように、太陽やイルカ、ジンベイザメをカラフルに描きました。評判がとても良く、依頼してくださったご家族にも、とても喜んでもらえました。

制作中は道ゆく人に「町が明るくなる」「ここに来るのが楽しみになる」と言ってもらえたり、子どもたちが僕が描いてる様子を見に集まってくれたりして、アートの力を感じましたね。

 

___素敵!!このお家の前を歩く子供達の笑顔が浮かびます。

あとはオフィスアートも描かせていただきました。

子供服メーカー「CAT」様オフィスアート①

子供服メーカー「CAT」様オフィスアート②

(①)は「街」と「子ども」というテーマでリクエストを頂き、それに自分のテイストを当てはめてデザインしました。フォーマルな子ども服メーカーさんだったので、明るいメルヘンなイメージの街に動物がいたり、僕の代表的なモチーフのクジラやイルカを入れました。

もう一つ(②)は、「朝の街」と「夜の街」というリクエストだったので、それに僕の得意なモチーフの太陽と月を大きく入れました。

どちらのウォールアートも、未来が明るくなるようなポジティブなイメージを意識して制作しました。

松崎さんはカフェの外装デザイン&ペイントも手がけています。
@「ごちゃまぜCafeメム」江戸川区篠崎

 

第3章)画家・松崎大輔の今とこれから

___コロナ禍でアーティスト達はとても大変な生活を強いられていると思います。

そうですね、生活はやっぱり大変です。

昨年は給付金や周りの方の助けを借りてなんとか乗り切れましたが、今はバイトをしてなんとか食いつなげる時もあります。

ただ生まれ持った特性が原因で、社会に適応して組織で働くことにずっと苦労して、何度も心身を壊してきたので、すぐにバイトをすれば良いとはなれないのが今の悩みです。

もっとアーティストやマイノリティに対して理解が広まってくれることを願います。

 

___アート活動の方はどうでしょうか?

大きい作品から小さい作品までかなり幅を広げて描いていますね。

1mのキャンバスに描くこともあれば、グッズも制作します。

あとは、10cmほどの小さなキャンバスに描いたり、初期に描いていた鉛筆画を再開したり、色んなテイストにチャレンジしています。

最近メルカリに小さい作品を出品しているんですが、購入してくれる方がいて本当に嬉しくてありがたいです。

 

___今後の目標はありますか?最後に、ぜひお聞かせください。

1番やりたいことは個展です。

自分がどういう絵を描いていて、どういう画家なのか知ってもらうために一番良い方法なので。

露出の場がないと、世間やマーケットになかなか認知されずらいので、個展や展示の機会は定期的に作っていきたいです。

 

あとは、壁画をもっと描きたいですね。

日本ではパブリックアートはまだ一部にしか普及していませんが、カラフルな壁画がもっと街にあれば人々の心が明るくしたり、インスタスポットのように街おこし効果もあります。

絵の雰囲気が保育園、子どもの施設や病院などに合っていると思うので、機会があれば日本全国どこにでも行って描きたいです。

 

今回インタビューに協力してくださった松崎大輔さんのHPはこちら。

https://daisukematsuzaki.wixsite.com/artist

Instagram:daisukematsuzaki326

Twitter:@daisuke326

note:Daisuke Matsuzaki

 

作品の購入はこちらからできます。

BASE 原画、グッズの販売

 

メルカリ ミニ絵やドローイング(線画)の販売

 

絵のオーダーのご依頼も承っています。

daisukematsuzaki326@gmail.com

 

インタビューを終えて・・・

今回突然のお話だったにもかかわらず、快くインタビューを引き受けてくれた松崎さんに感謝を申し上げます。

実際にお話をしてみると言葉の端々から聡明さ、優しさがにじみ出ている方で、そしてこの生きづらい世の中に対する苦悩も垣間みました。

文中にも触れさせていただきましたが、松崎さんのうつ病や生きづらさは幼少期の経験が原因となっています。

私自身幼少期のトラウマやうつ病を患っていた経験があること、そして今社会全体でやっとメンタルヘルスが日の目を見るようになったのを鑑みて、インタビューの際に松崎さんと相談し、自殺防止活動のことや幼少期のことについてまた別の記事で描かせていただく運びとなりました。

「精神とアート活動は表裏一体なので、すべてお話できます。」と語る松崎さん。

多くの方に理解を深めてもらうこと、そして今この一瞬一秒を戦っている方に、松崎さんの思いを届けられたと思います。乞うご期待ください。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA