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”男らしさ”の毒。男性のためのボディ・ポジティブ

 

「人を見た目で判断しちゃいけないよ」

なんて昔から言われてきましたが、実際のところ、人を容姿で差別するルッキズム(外見至上主義)は暮らしの中に蔓延っており、女性だけでなく男性にも生きづらさを与えます。

たとえば「見た目が良く、たくましく、力強い」のが男らしさであり、そうでなければ女々しく頼りないと評価されてしまいます。

今回は”男らしさ”の有害要因、ボディイメージ(容姿)について考えていきたいと思います。

有害な”男らしさ”。Toxic Masculinity

Toxic Masculinity(=毒々しい男らしさ)とは、肉体的に強く、権力や地位をもち、弱音を吐いてはいけないといったプレッシャーを男性に与えるもの。

タフに振る舞い感情を表に出さないようにしなければならないという考え方や、ストイックな競争力、支配的、攻撃的な男らしさは有害であり、小さい内から感情を抑えるように社会化することは内的にも外的にもダメージを与えることが研究でも明らかになりました。

たとえば、伝統的な男性らしさに従えば従うほど、大量の飲酒や喫煙、野菜の摂取を避けるなど健康に害が及ぶ行動をとる傾向にあることが分かっています。(

また、柔軟なジェンダー意識を持つ男性に比べて、メンタルヘルスサービスを求めることに否定的でもあります。(

”男らしさ”のレールから外れてしまったとき、どう感じるかを語る言葉を持ち合わせることもできません。なぜなら、感情を語るために存在する言葉がいまだに繊細で女性的なものとみなされているからです。

ジェンダー・マイノリティやセクシュアル・マイノリティの認識が高まっている今だからこそ、この「男らしさ」にも取り組まなければならないと思うのです。未来を生きる子どもたちが時代遅れのジェンダー・ステレオタイプに惑わされることのないように。

 

イギリス男性も悩むボディイメージ

イギリスの慈善団体Mental Health Foundationが、ボディイメージについて18歳以上の成人男性約2100人を対象にした調査があります。

  • 28%が容姿に不安を感じたことがある
  • 21%が容姿が気になって、自分の体や体の一部を隠すような服装をしたことがある
  • 22%が他人と自分の容姿を比較して否定的になった
  • 11%が容姿の問題で自殺を考えたり感じたりしたことがある
  • 4%が容姿の問題で故意に自分を傷つけたことがある

出典:Mental Health Foundation

男性の約10人に1人がボディ・イメージが原因で自殺を考え、20人に1人が自傷行為をしたことがあると答えました。

この結果に対し、Mental Health Foundationの最高責任者マーク・ローランド氏は以下のように述べています。

「ボディ・イメージは、女性だけが抱える問題と思われがちですが、今回のデータから、英国の何百万人もの男性にも影響を与えていることが明らかになりました。

男性もまた、広告やテレビ番組、SNSなどを通じて理想的なボディ・イメージに囲まれています。このようなメディア環境が男性にどのような影響を与えるかを認識することが重要です。」

Mental Health Foundationは、イギリス政府および関連業界に対しSNSの規制を含めた対策を求めており、テレビ番組においては非現実的な体型を見せないようするキャンペーンも展開しています。

またローランド氏は、男性の容姿の問題はより顕著になってきて精神的な健康状態を悪化させるリスクが高まっていることと、男性が自分の精神的な健康について話したり、助けを求めたりすることがより困難になっている事も指摘しています。

 

醜形恐怖症(BDD)について

ルッキズムや、偏ったボディイメージは醜形(しゅうけい)恐怖症の原因にもなりかねます。

Body Dysmorphic Disorder(BDD)

醜形恐怖症の特徴

  • 体の特定の部位(特に顔)を気にすることが多い
  • 他の人と自分の容姿をよく比較する
  • 鏡で自分を見ることが多い、または鏡をまったく見ない
  • 欠点を隠すために髪をとかしたり、化粧をしたり、服選びに時間をかけている。
  • 過度に肌手入れをする

出典:イギリス国営医療機関NHS

身だしなみ程度ではなく、自分の身体の一部や容姿に大きな欠陥があると思い悩み鏡に長時間向き合ったり、加工された自撮り写真と現実の自分とのギャップに苛まれてしまうのも醜形恐怖症のサインと言われています。

過度に気にしすぎてしまうと整形手術の繰り返し、自傷行為、摂食障害、引きこもりなどの原因にもなり得るので、心当たりがある場合は心療内科・精神科に相談してみてください。醜形恐怖症は認知行動療法(自分の考え方や行動など「ものの見方」を少しずつ変えていく方法)や、抗うつ薬で改善することができます。

国際OCD財団(強迫性障害の国際的研究機関)では家族、友人、仕事、学校など状況別に改善方法が紹介されています。

 

ボディイメージに悩んだ時は・・・

①メディアで発信されるボディイメージは信用しない

「Aが美しい」としたら、「Bは醜い」という考えの元から容姿のコンプレックスは生まれます。

購買意欲を促す謳い文句「〜だとモテない」と煽る広告は、画一的なボディイメージを普及させ、コンプレックスを刺激し差別を助長します。

醜形恐怖症は女性に多いと言われていますが、今後スキンケア、ムダ毛処理、メイクアップといった男性美容の市場が大きくなればなるほどその差は狭まっていくかもしれません。

そうなる前に、メディアが発信する美の基準や、「女性が〜」などと主語の大きい煽り文句は信用しないでください。

②ホットラインを利用する

「人に話すことではない」と思うかもしれませんが、誰かに自分の気持ちを伝えることはとても大切です。まずは小さなことでもいいので抱えている悩みをどう表現するか、練習としてホットラインを活用してみてはいかがでしょうか。

・一般社団法人日本男性相談フォーラム『男』悩みのホットライン

1995年に日本で初めて開設された男性のための無料相談窓口。

https://jmcf-jp.com/consultant.html

・男性相談支援ポータルサイト「オトココロネット」

相談窓口のある団体を検索できるほか、イベント情報も掲載されています。

https://otokokoronet.com/#search_area

・地方自治体

地方自治体によっては無料で電話・面談相談ができます。

例)クレオ大阪「男性の悩み相談」

https://www.creo-osaka.or.jp/soudan/mens.html

③ボディ・ポジティブに

痩せている、太っているなど体型にまつわることだけではなく、シミや皺、セルライト、毛など、自分自身のカラダを受け入れて、自分に優しく、ポジティブな習慣を身につけることを「ボディ・ポジティブ」といいます。

自分の見た目に不安を感じるのは普通のことだということを忘れないでください。

気に入らないことに目を向けるのではなく、受け入れようとする自分を誇りに思ってください。

④SNSのフォロワーを見直す

ダイエットやフィットネスの話題が多い人や、鍛え上げられた体の写真投稿など、自分がストレスに感じる投稿はフォローを外す、またはミュート機能を利用しましょう。

その代わりボディ・ポジティブを発信するアカウントをフォローするのがおすすめです。

ボディ・ポジティブ運動は海外を中心にかつてないほど盛り上がりを見せており、SNSでフォロワー数100万人を抱えるアクティビストも登場しています。

女性中心のムーヴメントだと思われがちですが、近年は男性によるボディイメージの発信も増えています。

 

男性のボディ・ポジティブを牽引するアクティビスト

Stevie Blaine – @bopo.boy

10代から20代前半にかけて常にダイエットを繰り返していたStevieは、社会が求める体に人生の大半を費やしていたと気づいて、自分を愛する旅の道のりを記録するためにアカウント@bopo.boyを開設。

男性が敬遠しがちなボディイメージに関する悩みを赤裸々に投稿しています。

ぽっちゃりでゲイの障害児として育った私は、自分が他の子供たちとは違うことを早い段階で知りました。

社会から「欠点」とされた自分の部分を隠すためにありとあらゆることをしました

隠すために髪の毛を伸ばしたり、男物のおっぱいと手術痕を隠そうと3倍のサイズの服を着たり、

自分のセクシュアリティを隠そうと好きな女の子の自慢をしたりしました。

私がこれらのことをしたのは、自分の居場所がないと感じていたからです。

でも、何年もかけて隠してきた「欠点」と呼ばれるものは、私という人間の一部なのです。

 

Kelvin Davis – @kelvindavis

 

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メンズファッションブロガーのKelvinは、ファッションのインスピレーションに加えて、現代の紳士の定義を再考し、プラスサイズの有色人種の男性を表現しています。

「現代の紳士におけるボディコンフィデンスとは、どのような外見であっても自分に自信を持つことです。男らしさ、男らしさを自分なりに定義すること。現代の男性は、社会やメディアが求める男性の美の基準にとらわれず、自分自身に自信を持つべきなのです。」

 

MATT CHU PICCHU –  @mattchuupicchu

Mattはジェンダーレスな方法でアートやスタイリング、自己表現を探求しています。

自己賛美とルールに縛られない姿勢に触れてみてください。本来の美やファッションについて考えさせられてしまいます。

”男らしさ”の毒。男性のためのボディ・ポジティブ|まとめ

男性は見た目だけではなく常にある種の男らしさの規範にとらわれなければならず、強く、タフで、泣かず、壊れず、どんなに深刻な状況になっても助けを求めないような、プロテクターの役割を担ってきました。

こうした考えが行き過ぎてしまうと、プレッシャーやストレスで精神と体を蝕み、家族とのコミュニケーション不足、DV、熟年離婚、最悪の場合自殺や過労死を招くメンズクライシス(男性性の危機)に陥ります。

ジェンダー平等の波で日本では女性議員数や家父長制に対する批判が高まる一方、このメンズクライシスについてはあまりスポットが当たっていません。

言い表せない喪失感や不安がゆっくりと深刻化する「剝奪(感)の男性化(masculinization of deprivation)」によって、論破で人を踏み躙ろうとする人や、無差別に幸せそうな女性”を襲う事件が生じてしまったのではないでしょうか。

Toxic Masculinityや、男性に対するケアも重要な課題の一つで、これを抜きにしてジェンダー平等は語れないと思うのです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

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