次シーズンのトレンドはジャンプスーツ?シャーベットカラー?それともタイダイ柄でしょうか?
いえいえ、全世界で1番注目されているのが「サステナブル&エシカルファッション」です。
これを読めば、これから服選びの基準が変わるかも!?
最近ファッション界隈でよく目にするキーワード
「サステナブル」と「エシカル」とは一体どういったことなのか
- ファッション業界の問題点
- 海外のサステナブル認証制度
- サステナブルのファッションブランド
- 私たち消費者ができること
以上を紹介します。
アパレルのこれからは「スロー・ファッション」
2000年頃に登場したファスト・ファッション。
“オシャレで安くて手軽に買える”と流行し、ファッション業界は大量生産・大量消費主義の時代でした。
「安いから買ったけど、1シーズンで捨てちゃった」
なんて経験ないでしょうか?実は私もあります。。
服の廃棄物は年間9,200万トン以上に及んでいます 引用:Newdaily
ファッション業界はCO2の排出量が全業界の10%、水資源を大量に消費するため、石油産業に次いで、世界第2位の環境汚染産業とみなされています。(国連貿易開発会議UNCTAD調べ)
英エレン・マッカーサー財団によると、繊維生産(コットン栽培含む)に必要な水の量は950億リットルに及びます。
(コットンTシャツ1枚作るのに約3,000リットル、ジーンズ1本で約7000リットルも必要)
またジーンズの染料や加工には有毒な化学物質が含まれており、工場近隣の川や空気の汚染の原因にもなっています。
生地の染色(タイ)引用:NRDC
さらに洋服の繊維に使われるポリエステルは、洗濯時に”マイクロファイバー”として海に毎年50万トン(ペットボトルでいうと500億本以上に相当)する量が漂流し、海洋プラスチック問題の大きな原因にもなっています。
「途上国で起こっていることで私たちに関係ない」と言えないこの状況に、ブレーキをかけるのが、Sustainable(サステナブル)&Ethical (エシカル)な考え方と取り組みです。
「サステナブル」「エシカル」って?
Photography : Flora Westbrook @Pexels
Sustainable
一定の水準で継続できるもの
サステナブル・ファッションとは環境面に配慮した持続可能な方法で製造、販売、使用されている衣料品、靴、アクセサリーをいいます。
「持続可能」とは
農薬の使用、染色と仕上げ、水と廃棄物の処理、エネルギー量、材料の選択、包装など、生産にかかる環境コストを抑え、人にも経済にも負担をかけず永続できるあり方を指します。
サステナブルなファッションブランドは、製品のライフサイクルのすべての段階(デザイン、原材料の生産、製造、輸送、保管、販売、再利用/修理)を改善する取り組みを行っています。
サステナブルにする方法は以下が挙げられます。
- 製造の際に環境に悪影響を与える農薬や合成素材を避ける
- 廃棄する際に生分解性があるオーガニックや天然素材(綿や竹など)を使用
- 廃棄されたものから新たな製品を開発
古着もサステナブル・ファッションの一部。
イギリスの若者で流行しているdepopはサステナブルな取り組みと古着マーケットがマッチした次世代型アプリです。
Ethical
倫理(モラル・道徳)
ファッションにおける倫理は、衣料品が「倫理的に作られているかどうか」
労働条件、持続可能な生産、環境配慮、動物福祉など広い範囲を指しています。
- コットンの栽培方法
- 縫製工場の環境
- 労働者への虐待/差別
- 皮革や毛皮
↓左:0.6ドル(65円)で作りました 右:50ドル(5500円)で買いました
コットン栽培と聞くとオーガニックなイメージを持っている人も少なくないです。
しかし実際には、一般的なコットン栽培では化学肥料・除草剤・殺虫剤など多くの農薬が使われています。
化学物質が散布されると空気、土、水質が汚染され、さらにそれを吸い込む生産者や近隣住民、生き物にまで害を与えます。
コットンの生産量第2位のインドでは、10歳前後の子供たちが農薬まみれのコットン畑で1日中働かされる「児童労働」も問題視されています。
以下引用:Bing
ファスト・ファッションの生産拠点であるバングラディシュでは2013年、縫製工場が入ったビルが倒壊し死傷者3600人以上をだした大惨事が起きています。
これにより縫製工場で働く労働者の劣悪な環境が明らかとなりました。
倒壊したバングラディシュの工場
危険な環境、低賃金に抗議するバングラディシュの従業員たち
現在の縫製工場は、コロナの影響で注文のキャンセルが相次ぎ支払いの遅延がおこっています。工場で働いていた従業員の多くが解雇または未収入となり、生計が建てられない人もいます。
さいごに、動物福祉ではファーや皮革製品に使用される動物に対する残忍な扱いを問います。ファクトリー・ファームの劣悪な環境、生きたまま毛皮を剥ぐなど、目を瞑りたくなるような現実があります。
サスティナブル・ファッションの先駆けデザイナー、ステラ・マッカートニーさんは倫理的菜食主義で、自身のブランド「Stella McCartney」では皮革製品を一切使用していません。
近年の消費者の意識の高まりにシャネル(CHANEL)もエキゾチックレザーの使用を廃止しています。
エキゾチックレザーとは
クロコダイルやトカゲ(リザード)、ヘビ(パイソン)など爬虫類の革。
ほかにもダチョウ(オーストリッチ)・サメ革・ゾウ革など。
動物の生命倫理を問う「ヴィーガン」についても記事を書いています。
サステナブル製品を選ぶには・・・世界の認証制度
ブランド、企業が「うちはエシカルです」といっても、エシカルには広い範囲の意味があるためそれがサステナブルを指しているとは限りません。
製品過程の透明性、環境や労働者に配慮された持続可能の製品であるかなど、国際基準の認証制度を3つ紹介します。
- フェアトレード
- B corp
- GOTS
世界で最も認知されている倫理的認証マーク【フェアトレード】
フェアトレード=公平・公正な貿易
引用:フェアトレード・ジャパン
開発途上国の原料や製品(コーヒーやカカオ、コットンなど)を適正な価格で購入し、生産者や労働者の生活改善と持続可能な開発を促進するための「国際フェアトレード基準」
国際フェアトレード基準の3つの柱
- 経済的基準・・・貿易の最低価格保障、長期取引の促進など
- 社会的基準・・・安全な労働環境、児童労働の禁止など
- 環境的基準・・・農薬の削減、有機栽培の促進など
厳しい監査のもと、これらの国際フェアトレード基準を満たした製品には認証ラベルが付けられます。
フェアトレード認証マーク
日本では現在57社が認証されており、有名な企業だとエスビー食品株式会社、イオントップバリュ株式会社、UCC上島珈琲株式会社など。
認証を得た企業は製品別に公式サイトから見ることができます。
「いい会社」の世界基準【B corp(ビーコープ)】
製品の認証だけじゃない、会社のあり方にも基準を
引用:B Corp
ビーコープはアメリカに拠点をもつ、NPO非営利団体「B Lab」が2006年に発足。
Bとは、Benefit=利益を意味し、会社の利益だけではなく、労働者、顧客、地域社会、環境を考慮しながら利益を生む企業に与えられる認証制度です。
各商品の認証マークはさまざまな種類がありますが、企業そのものに制度を設ける仕組みはこれまでありませんでした。
B corpの概要ビデオ(日本語字幕つき)
業界を問わずすべての企業が認証を持つことができるのがビーコープの特徴で、現在世界74ヵ国、3608社が基準を満たしておりパタゴニア(Patagonia)やアイスクリームのベン&ジェリーズ(Ben&Jelly’s)といった有名企業も含まれています。
日本では現在6社が認定されています。
- ダノンジャパン
- 株式会社泪橋ラボ
- 日産通信株式会社
- フリージア株式会社
- 石井造園株式会社
- 株式会社シルクウェーブ産業
まだ認知度は低いですが、今後はとくに台湾やシンガポールなどアジア全体に広く普及していきそうです。
オーガニック繊維の世界基準【GOTS(オーガニック・テキスタイル世界基準)】
GOTS(Global Organic Textile Standard)
引用:GOTS
GOTSは、テキスタイル(繊維製品)の有機栽培の原料を使用し、加工、保管、流通におけるすべての過程で環境・社会に配慮された商品に与えられる認証制度です。
対象製品は70%の認証されたオーガニックの天然繊維から作られた洋服・寝具・ベビーカー・糸・布・タオルなど繊維製品全般。
審査には製造加工、 裁断縫製仕上げ、梱包、ラベリング、貿易、配給(卸売)まですべてがカバーされています。
GOTS認証マーク
現状では化学薬品ゼロで繊維を製造するのは技術的に難しいため、GOTSでは染料や仕上げ剤などに細かい制限・禁止事項が定められています。
コットン畑の児童労働がないことも条件に含まれています。
サステナブル・ファッションブランド
Stella McCartney ステラ・マッカートニー
英バンド、ビートルズのポール・マッカートニー氏の娘ステラ・マッカートニーさんのブランド。
両親の影響で幼いときからベジタリアンで、自然豊かな田舎で動物たちと共存する生活を送ったステラ・マッカートニーさんの考えはサステナブルそのもの。
母のリンダ・マッカートニーさんは90年代にベジタリアンフードブランドを立ち上げ、夫婦ともに菜食主義だったことで有名です。
動物性の製品を一切使わず、従業員や製造する人たちの労働環境の配慮、地球に優しい素材選びにも手を抜きません。
モードなデザイン性の高さも一目おく、サステナブルのパイオニアです。
Patagonia パタゴニア
引用:patagonia
アウトドアブランドで有名のパタゴニアは、製品のおよそ70%がペットボトルなどのリサイクル素材を使用しており、2025年までに100%の再生可能素材またはリサイクル素材を使用することを目標としています。
リサイクル・ポリエステル100%、フェアトレード認定工場で縫製
1973年に創設以来、環境保護活動に積極的に取り組んだり、環境負荷を減らすために素材や工程に多くの革新を行うなど、レスポンシブル・カンパニー(責任ある企業)の姿勢を貫いています。
2019年には国連の最高環境賞「UN Champions of the Earth award(地球大賞)」を受賞。
2020年は、イギリスに拠点をおく非営利団体 「Fashion Revolution(ファッション レボリューション)」が調査した「ファッション透明性インデックス2020」に上位にランクインしました。
「ファッション透明性インデックス」とは
世界250のファッションブランドと小売店の「社会的・環境的な方針や責任」がどれだけ開示しているかランク付けされたもの。
動物福祉、生分解性、化学物質、強制労働、結社の自由、ジェンダー平等、生活賃金、購買の流れ、サプライヤーの開示、廃棄物とリサイクル、労働条件など220の指標で調査されています。
オンラインサイトを見るとパタゴニア製品の「透明性の高さ」「環境への配慮」が徹底されているのが分かります。
PeopleTree ピープル・ツリー
ピープル・ツリーは、イギリス人のサフィア・ミニーさんが日本で設立したフェアトレード専門ブランド。
およそ30年も前から環境にやさしく、生産者の生活を支えるサステナブルなファッションをつくり続けています。
アジア、アフリカなどの18ヵ国、145団体と共同で自然素材を用いた手仕事による商品を企画開発・販売しており、洋服で使用されるコットンはすべてオーガニック栽培されたもの。
売り上げの一部を孤児院に寄付するなど支援活動もしています。
「誰が作ったか」がはっきり分かり、個人的にデザインもすごく好きです。
インドの職人によるハンドペイントのストール
19世紀イランのテキスタイルコレクションからインスパイアされたデザイン
引用:ピープルツリー
サステナブルファッションブランドはまだまだたくさんあります!
世界各国から厳選したブランド紹介はこちら⬇︎
サステナブルな暮らし。わたし達ができること
海外のとくに若い世代で意識がどんどん高まっていて、いま企業やブランドに求められているのは「生産工程の透明性」です。
でも企業だけではなく、わたしたち消費者にできることはなんでしょうか?
- いいものを買って、長く使う
- 古着を買う
- 「どこで」「誰が」作った服なのか分かる製品を選ぶ
- オーガニックコットンでつくられた製品を選ぶ
- 着なくなった服はリサイクルする
- 洗濯回数を減らす
これからはデザインや価格だけでなく「環境保護に貢献できる製品かどうか」も選択肢に含まれていくのではないでしょうか。
地球にやさしく、自信をもっておしゃれをしたいですね!
サステナブルの共通の概念である「ゼロ・ウェイスト」もぜひご一読ください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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