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イギリスの美しい野の花を愛でる。【春のワイルドフラワー】

 

英語でWildflower meadow(ワイルドフラワー・メドウ)という言葉があります。

Wildflowerは「野の花」

Meadowは「草原」

野の花が咲き乱れる草原は、イギリスの原風景そのもの。

自宅の庭をワイルドフラワー・メドウにするのも人気で、春先になるとスーパーで種が売られています。

ワイルドフラワーの種 引用:mariecurie

 

Amie
Amie
こんにちは、Amieです(@Amie_Writes)

私もワイルドフラワーの種を庭に植えました!夏に咲くのが楽しみです。

 

ときには雑草として扱われてしまう野の花がどうしてイギリス人に愛されているのか、

そして春に咲くイギリスのワイルドフラワーを紹介していきます!

野の花(ワイルドフラワー)が愛される3つの理由

どうしてイギリスでは野の花が愛されているのか、3つの理由を見ていきます。

  1. イングリッシュ・ガーデンの美学
  2. 環境問題と生態系の保護
  3. イギリス人の慣習

 

イングリッシュ・ガーデンの美学

現在のイングリッシュ・ガーデンといえば、薔薇やハーブと一緒に野の花が群生している自然な風景が特徴ですが、昔はフランス様式のシンメトリーで幾何学的な構成が一般的でした。 

それを「人工的」だと痛烈に批判したのが、造園家で雑誌編集者のウィリアム・ロビンソン(William Robinson: 1838-1935)

ロビンソンは「春には木の下に野の花が広がるような自然な風景」を再現するため、ワイルド・ガーデンという様式を提唱しました。

貴族階級に独占されていたガーデニングでしたが、ロビンソンが提唱する「ワイルド・ガーデン」は小規模、しかも安価なことから中級階級の手に届くようになり、瞬く間に広まっていきました。

こうしてロビンソンの「自然の風景をそのまま庭園に」という哲学が現代まで続くイングリッシュ・ガーデンの主流となったのです。

 

環境問題と生態系の保護

イギリスでは1930年代以降、97%の草原を失っています。

面積にすると300万ヘクタールにも及び、現在、種の豊富な草原はイギリス国土のわずか1%しか占めていないといわれています。BBC

これによりハチや昆虫を食べる動物(鳥、ハリネズミ、コウモリなど)が激減、私たちの暮らしに影響を与えかねないほど深刻な問題になっています。

ハチがいなくなるとどうなる?

ハチはワイルドフラワーから蜜を集め、受粉を媒介します。そのおかげで私たちはリンゴ、イチゴ、ラズベリーなど四季折々の果物や野菜をいただくことができます。

もしハチがいなくなってしまうと、人工的な受粉方法を開発しなくてはならず、時間やコストがかかるので今のように手軽に果物・野菜を購入できなくなるかもしれません。

 

イギリスの自然保護団体は7月第一土曜日を「National Meadows Day」とし、種を配布するなどワイルドフラワー・メドウの保護や復興活動を行っています。

小地区でも保護活動が行われるなどして環境問題が徐々に知れ渡り、自宅の庭にワイルドフラワーを植える人が増えてきました。

ワイルドフラワー保護活動を行う慈善団体

Wildlife Trust:https://www.wildlifetrusts.org

Woodland Trust:https://www.woodlandtrust.org.uk/trees-woods-and-wildlife/plants/wild-flowers/

 

イギリス人の慣習

寒くて、暗くて、陰気なヨーロッパの冬。

ワイルドフラワーは3月頃、眠りから覚めたように一斉に咲き乱れて、憂鬱な冬の終わりを告げてくれます。

とくに黄色のラッパ水仙はイギリスの春を象徴する花として、公園や庭先に咲き、スーパーでも切り花が売られるようになります。

 

そして夏になると、田舎の草原は色鮮やかな野の花、虫の鳴き声、頭上を飛ぶヒバリの甘い歌声が飛び交うミニ・ジャングルに。

野の花の香りは、子供の頃に草原を思いっきり駆けた、あの甘い記憶を蘇らせてくれます。

そんな田舎のワイルドフラワー・メドウの原風景を自宅の庭にも…と思うイギリス人は少なくありません。

 

記憶を蘇らせるものといえば、イギリスでは毎年11月11日にRemembrance Day (リメンブランス・デー)という戦没者追悼行事が行われます。

この時期はテレビのニュースキャスターや、街を歩く人の多くが真っ赤なポピーのブローチを身につけます。

第一次世界大戦時、激戦地だった草原に真っ赤なポピー が咲き乱れていたという話からポピーは戦没者追悼のシンボルとなりました。

3月のワイルドフラワー

Daffodil (ダファディル)

Daffodil (ダファディル)は「ラッパ水仙」とも呼ばれ、3月から4月にかけて庭や道端、公園などに咲き、春の訪れを告げてくれます。

イギリス人にとってダファディル春のシンボル。

冬の間に球根を植えて春に咲くのを待ったり、スーパーで売られ始める切り花を窓際や玄関に飾ります。

 

ただ、道端や公園を彩るダファディルはほとんどが園芸品種。野生は非常に珍しくなっています。

現在、絨毯にように敷き詰められた野生のダファディルの群生を見ることができるのは、イングランド北西部や南西部、またはウェールズの森林の湿った草地に限られているそう。

野生は背が低く、細長い灰緑色の葉を持っているのが特徴で、森の薄暗い影の中や湿った草原の草の間に生えています。

薄暗い中のダファディルは、きっとより一層鮮やかな黄色で輝きを放っているでしょう。

 

Blackthorn(ブラックソーン)

Blackthorn(ブラックソーン)は、生垣や森林の縁に生える低木で、3月から4月にかけて白い花を咲かせます。

絶滅危惧種の蝶ブラック・ヘアストリーク・バタフライ’Black Hairstreak butterfly ‘がブラックソーンの枝に卵を産み付け、越冬したイモムシが春に出てきて葉を食べます。

 

さらに秋から冬にかけては、「スロー(Sloe)」と呼ばれる濃い紫色の実が成ります。この果実、イギリスではアルコール飲料「スロージン(Sloe Gin)」の材料や、ジャムなどで親しまれています。

早春に美しい花を咲かせ、秋には実をつくって薫りを提供し、冬は蝶を見守るブラックソーンは「イギリスの桜」ではないしょうか。

各銘柄のスロージン・リキュール 引用:olive magazine

 

Wood anemone(ウッドアネモネ)

Wood anemone(ウッドアネモネ)は星型で、3月から5月にかけて森の床に、星の銀河のように花を咲かせます。

日の当たる場所で花が開き、花びらは白色で中央にたくさん見える黄色い葯(やく)が特徴で、落葉樹林や古木の林、生垣などに生育しています。

「ワイルド・ガーデン」のウィリアム・ロビンソンのお気に入りでもあったとか。

ウッドアネモネの名前の由来は、ギリシャ神話の風の神アネモスが、自分の到来を告げるために早春にアネモネを送ったからだと言われて、「ウィンドフラワー’Windflower’」という別名もあります。

 

Marsh Marigold(マーシュマリーゴールド)

花弁が王様の杯に似ていることから、「キングカップ(Kingcup)」ともマーシュマリーゴールドは、晩春から初夏にかけて光沢のある黄金色の大きな花を咲かせます。

池や草原、沼地、溝、湿った森林など、湿った森林などに広く分布し、湿った場所を好みます。

グレートブリテン島とアイルランド島の間に浮かぶ小さな島・マン島ではマーシュマリーゴールドは縁起が良いとされ、島民は春になるとマーシュマリーゴールドを家に飾るそうです。

 

Lesser celandine(レッサーセランダイン)

Lesser Celandine(レッサーセランダイン)は、森林、生垣、墓地、公園などで見られる春の花で、3月から5月にかけて光沢のある花が辺りを黄金色に染め上げます。

春に最初に咲く花の1つとして、冬眠から覚めた昆虫たちに貴重な蜜源を提供します。

早春に近所で撮影。ほかの花は咲いておらず、レッサーセランダインだけが地面を黄色く照らしている。

 

花は日光の下で開き、雨が降る前に花びらが閉じることから、かつては天気を予測できると考えられていました。また、葉にはビタミンCが多く含まれており、壊血病の予防に使われていたそうな。

 

4月ワイルドフラワー

Forget-me-not(忘れな草)

鮮やかなブルーの花を咲かせる忘れな草は、森の中の道端や湿った森林の中で見られます。

花期は4月から6月。

forget-me-notという印象的な名前の由来は、ドイツの伝説からきていると言われています。

昔、騎士ルドルフは、ドナウ川の岸辺に咲くこの花を、恋人ベルタのために摘もうと岸を降りたが、誤って川の流れに飲まれてしまう。

ルドルフは最後の力を尽くして花を岸に投げ、„Vergiss-mein-nicht!“(僕を忘れないで)という言葉を残して死んだ。

残されたベルタはルドルフの墓にその花を供え、彼の最期の言葉を花の名にした。

引用:Wikipedia

ドイツでこの花はvergissmichnicht(私を忘れないで)と呼ばれています。

そのインパクトから英語もそのまま「forget-me-not」に、そして和訳も「忘れな草」になりました。

 

Fritillaries(フリチラリア)

赤紫色で網目模様が目を引くフリチラリア。頭が垂れ下がっている様子から「スネークヘッド」という別名もあります。

かつては広く見られていましたが、現在ではイングランド南部と中央部のほんの一握りの草地でしか生育していません。

 

オックスフォードシャーの大学中心部のテムズ川沿いと、Magdalen Meadow(マグダレン・メドウ)は、フリチラリアが見れる最も有名な場所として知られています。

オックスフォードシャー・ダックリントン教会では、毎年「Fritillary Sunday」というイベントが開催されて、一般の人々がフリチラリアで埋め尽くされたフィールドを歩くことができます。

(※残念ながら今年2021年は新型コロナウィルスの影響により中止となっています。)

 

Gorse(ゴース)

ゴースは海岸の草原、牧草地、町や庭などあらゆるところに生息しており、春から夏にかけてココナッツの香りがする独特の黄色い花を咲かせます。

日本名はハリエニシダ(針金雀児)

名前の通り、サボテンのように鋭いトゲに覆われています。

Amie
Amie
よく散歩する牧草地に大量にこのゴースが生えています。

硬ーいトゲなので気をつけてくださいね。。

ゴースは昔から、パン窯を焼くための燃料、家畜の飼料、床ブラシや煙突ブラシ、着色料など、生活の中で幅広く使用されてきました。すべて採取されないように地区によって制限が設けられるほどだったそうです。

 

Cowslip(カウスリップ)

カウスリップは早春に咲くため、春の訪れを象徴する花の一つ。

かつては草原や森林、生垣などによく見られた植物でしたが、現在は個体数が著しく減少しています。

 

カウスリップは黄色の花が下向きに密集している様が鍵の束に見えることから、

St. Peter’s keys(聖ペテロの鍵)、 keys of heaven(天国の鍵)とも呼ばれています。

キリスト圏では聖ペテロが持っていた地球の鍵をうっかり落としてしまい、その場所に生えた植物だという伝説もあります。

 

Cow Parsley(カウパセリ)

Cow (牛)Parsley(パセリ)という名前ですが、その見た目は繊細で美しく、田舎の散歩道を華やかに彩ります。

日陰を好み、森の縁や道路の縁、生垣などに、泡立つかのように白い花を咲かせます。

 

アン女王のために咲き、彼女が身につけるレースに反映させたという民話から「Queen Anne’s lace(アン女王のレース)」という別名も。

葉を指でつぶすと、香料にも使用されるアニスのような強い香りがします。

 

Bluebell(ブルーベル)

若い新緑と、床一面に青い絨毯が広がる光景はイギリスを代表する春の風物詩。

「ブルーベルの森は妖精が住む」という言い伝えがあり、幼少時代からブルーベルに特別な愛情を持つイギリス人は多いようです。

 

ブルーベルにはイギリス固有種のイングリッシュブルーベルと、外来種のスパニッシュブルーベルがあり、現在多く見られるのは両種の交雑種。

スパニッシュブルーベルは繁殖力が強く、森林に自生する固有種への影響が懸念されています。

1981年に固有種を守るために、「野生生物及び田園地帯保護法」 ( Wildlife and Countryside Act )が成立。

球根を販売することや、野生のブルーベルを摘むことは禁止されています。

4〜5月にかけて「ブルーベル・ウォーク」のシーズンですが、森林のブルーベルを摘んだり、踏みつけたりしないように注意してくださいね。

イギリスの美しい野の花を愛でる。

まだまだ紹介しきれないほど、春から夏にかけて多彩な野の花が咲きます。

華やかなチューリップや薔薇もいいですが、木陰やベンチの周りにひっそりと咲く花は格別に愛おしいものです。

週末はPublic footpathを散策して、鳥の歌声、蝶のダンス、野の花の香りを堪能してみるのはいかがでしょうか。

最後まで読んでいただきありがとございました。

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